本格的な夏がやってくると、気をつけなければならないのは熱中症です。
熱中症はなってしまった後の対応も大切ですが、
熱中症にならないようにすることもそれ以上に大切なことです。
今回は特に「お子さんの熱中症」を予防するために、
大人ができることについて簡単にまとめてみました。
熱中症は環境条件によって起こる病気です。
条件さえ満たせばどこでも(室内でもプールでも)、
誰にでも(大人でも子供でも)起こりうるものです。
熱中症に対する最も効果的で根本的な予防法は、
熱中症のリスクのある環境下に身を置かない
ということです。
熱中症のリスクに関係するのは、
70%が湿度、20%が直射日光、10%が気温といわれています。
「熱中症」と聞くと、
つい気温だけに目を奪われがちになりますが、
実は湿度の方がはるかに大きなリスク要因となっています。
日常生活の中で湿度に注目することはなかなか難しいのですが、
熱中症リスクを総合的に評価できる指標として
湿球黒球温度(WGBT)というものが提唱されており、
「暑さ指数」などの名称で公表されています。
こうした指標を天気予報やWebサイトなどでチェックし、
「厳重警戒」や「危険」となっているときは外出しない、させない
などの基準をご家庭内で定めておくことが望ましいです。
お子さんはそうした指標には目もくれず、
外に遊びに行ってしまったり、
大切なイベントが控えていたりして、
暑くてもどうしても外で活動したいといった状況は
多々あるとは思いますが、
安全を最優先して子供たちの活動を制限することも大人の大切な役割です。
衣服は吸湿性がよく、ゆったりしたものを選んで、
対流や汗の蒸発による体温低下効果が最大限に得られるようにしましょう。
黒や紺などの濃い色のものは、日光の熱を吸収してしまうため、
避けた方がよいでしょう。
脱水になると汗をかくことができなくなり、
汗の蒸発により得られる体温低下効果が弱くなってしまいます。
「水分をこまめにとる」ということはよく言われることではありますが、
具体的に何をどれくらい飲んだらよいのか、
実はよくわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
やむを得ず暑い環境下で活動する場合は、
を目安に水分を摂るようにしましょう。
飲み物に糖分や塩分を入れると水分の吸収率が上がります。
適切な塩分濃度は0.1-0.2%とされていますので、
ナトリウムが100mLあたり40-80mg含まれているものを選ぶとよいと思います。
ちなみに麦茶は糖分・塩分ともに低めですので、
暑い環境下での水分補給のメインとするのは避けた方が無難です。
遊びに夢中になっているお子さんは、
自分の身体に限界が来るまで活動を続けてしまう傾向がありますので、
周囲の大人が声をかけ、適切なタイミングで水分を摂取できるように促しましょう。
梅雨明けなど、急に暑くなったときは身体がまだ暑さに慣れておらず、
熱中症になりやすい時期と言えます。
身体が暑さに慣れることを暑熱馴化(しょねつじゅんか)といいますが、
年齢が低いうちは、汗をかくための汗腺が未発達なこともあり、
この暑熱馴化に時間がかかると言われています。
大人であればある程度暑い環境で4日間ほどすごせば暑さに慣れてきますが、
の期間が必要とされています。
夏の初めは通常よりも厳しく環境条件を評価した方がよいでしょう。